VOICE生徒の声
「親子で書道」
東京校 榎本欣仙
「鈴木先生からホームページに載せる原稿を書いて欲しい」と言われ、「何を書こう」と悩みましたが、そう言えば、以前の検定成績発表誌の「藝樹」に息子の作文が載っていた、と思い出し、それを手に取ってみると、そこにはまだ幼稚園児だった息子のの写真と可愛らしい文章が載っていました。懐かしい…暫く懐かしいその文章を読みながら、いろんな事が思い出されてきました。私が鈴木先生と出会ったのは十数年程前だったと思います。私には4人子供がおりますが、一番下の息子が通っていた幼児教室で、鈴木先生が週1回「書の会」を開いて、主にそこに通っている母親達に書道を教えて下さっていたのがきっかけでした。
気付けばずっと子育てに追われ、ゆっくり自分の時間など取ることのなかった私達母親にとって、しばしの静かな時間でした。書の会では、半紙に書く習字だけでなく、祝儀袋の書き方や宛名の書き方、時には墨絵で年賀状を描いたり、賑やかな楽しい時間であったことが思い出されます。
幼児教室を卒業した後も書道を続けたいと思っておりました私をお誘い下さり、当時まだ4歳と9歳だった息子たちと私の三人で國際書道藝術學院に通わせていただくことになりました。当時は大人と子供は別々の部屋で、子供達は隣の部屋で教えていただいておりました。今振り返ってみると、男の子が母親と一緒に習い事ができることは、とても貴重な時間ではなかったかと思うのです。
一緒に書道教室に通わせて頂いた数年間は私達親子にとって、宝物のような時間でした。
上の息子は大学生になり寮生活をしておりますが、毎年母の日には、きれいな文字で手紙を書いて送ってくれます。それから、娘も「私も書道がやりたい」と通わせていただくようになり、親子4人で先生にお世話になり、本当に感謝しております。私は、今までは子供達と一緒に通えることが楽しくて書道を続けておりましたが、一人、また一人と子供が卒業してしまい、今はほとんど一人で通う事が多くなりました。今までは特に目標を持つわけでもなく、言われるままに検定を受けたり、言われるままに展覧会に出品する作品を書いておりましたので、何となく消極的な書であったと思われますが、これからは、もう少し積極的に書道に向かい合ってみようと思います。そして、いつか私も先生が私に与えて下さったように、書道を通して誰かに幸せを与えられたらいいな、と思うようになりました。これが今の私の目標です。